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脱水症を防ぐために
季節を問わず、
こまめな水分補給を

人の体は水分(体液)をたくさん含み、成人では体重の約60%にあたるといわれています(加齢とともに減少)。
体液は臓器の機能を維持するために必要で、正常な状態では体内に入ってくる水分量と体外に出ていく水分量のバランスが保たれています。
しかし、何らかの原因でこのバランスが崩れて体液量が減少すると脱水症が起こります。
体重のわずか3%程度の水分が失われただけでも軽度の脱水症につながることがあるので1)
日頃からこまめな水分補給を心がけることが大切です。

教えてくださるのは
横浜市立大学附属市民総合医療センター
腎臓・高血圧内科 部長
平和 伸仁先生
横浜市立大学附属市民総合医療センター 腎臓・高血圧内科 部長 平和 伸仁 先生

脱水症の原因や
症状など、
教えてください

脱水症の原因
脱水症の原因はさまざまです。
水分摂取量の不足、暑さや運動で大量の汗をかいたとき、飲酒など日常的な要因だけでなく、感染症、発熱、下痢、嘔吐、多尿、出血などによっても起こります。

脱水症の症状
脱水症の症状は、主に脳、消化管、筋肉など水分が豊富にないと十分に機能できない臓器にあらわれます。
軽度の脱水症では、のどの渇きや尿量の減少、頭痛、倦怠感などがみられますが、重くなるとめまいや意識の障害、嘔吐や下痢、筋肉痛やしびれなど、さまざまな症状があらわれます。

脱水症を疑う症状

脳の症状
めまい、立ちくらみ、集中力の低下、頭痛、意識消失、けいれん
消化器の
症状
食欲低下、吐き気、嘔吐、下痢、便秘
筋肉の
症状
筋肉痛、しびれ、こむら返り、まひ

谷口英喜. 臨床栄養2021; 別冊:68-74

急性型と慢性型
熱中症をはじめ、感染症による下痢や嘔吐などによる急な体液減少は、健康な人でも起こります。
一方、成人に比べて体液量が少ない高齢者では、こうした急性の脱水症だけでなく、長期間にわたる食事や飲水の不足などから、数日~数週間にかけて脱水症が進むことがあります。

脱水症に早く気がついたり、
予防したりするには、
どうしたらよいでしょうか?

脱水症に早く気づくには
脱水状態を早期に知る方法は、尿の色を見ることです。腎臓病を予防するためには「薄い尿」であることが必要ですが、「色の濃い尿」が出ている場合は水分摂取量が少ない(足りない)ことを示しているので、水分をしっかりとるように注意しましょう。

脱水症を防ぐために
のどの渇きを感じてから水を飲むのではなく、渇きを感じる前にこまめに水分をとることを心がけましょう。
ただし、糖分や塩分が多い飲み物は、吸収に時間がかかることに注意が必要です。
また、アルコールやカフェインを多く含む飲み物は尿量を増やし、体内の水分を排泄してしまうので、水分補給に適していません。

脱水症かも?と思ったら、
どうしたらよいでしょうか?

脱水症かも?と思ったら…
のどの渇き、尿量の減少、頭痛など軽度の脱水症が疑われる症状がみられたら、スポーツドリンクや経口補水液などで、すぐに水分を補給しましょう。
水分補給で症状が改善しないときや、口から何も飲むことができないときは、医療機関で点滴を受ける必要があります。意識がはっきりしない状態なら、救急車の要請を考慮してください。

脱水症と血圧の関係についても、教えてください

脱水症と血圧
脱水の際には血圧が低下しやすくなります。このため、降圧薬を内服している人では過度の血圧低下を生じることがあります。血圧が下がりすぎると急性腎障害などの合併症を生じることもあるので、一過性に降圧薬を中止したほうがよい場合があります。特にレニン・アンジオテンシン・アルドステロン系を阻害する薬や利尿薬を内服している人は注意が必要なので、前もって降圧薬の中止基準などを主治医に聞いておきましょう。

  • 1)
    谷口英喜. 臨床栄養 2021; 別冊: 65-67
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