知られざるトイレと血圧の深い仲!?

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トイレの我慢は、百害あって一利なし?

毎日の生活のなかで、血圧は食事だけでなく、実は排泄行為によっても変動しています。なかでも、排尿を我慢するのは要注意。ギリギリまでトイレに行かないでいると、膀胱がパンパンにふくらむことで血圧が上がってしまいます。しかも、その状態から排尿すると一気に血圧が下がり、高血圧の人の場合は、排尿後に気を失う「排尿失神」(血管迷走神経失神のひとつ)を起こしてしまうこともあります。
特に男性は、女性に比べて長時間尿意を我慢できやすいということに加え、立った状態で排尿することがより大きな血圧の変動につながりやすいといわれています。
血圧の急な上昇と危険な変動を防ぐには、トイレは我慢せず、こまめに定期的に行く習慣をつけることがポイント。また、特に血圧の変動が起きやすい夜の時間帯は、男性でも座った状態で排尿するのがおすすめです。

すっきり快便、血圧の味方!

便秘などで長時間いきむことでも血圧はかなり上がってしまいます。健康な人でも40~50mmHg程度上がるとされていますが、高血圧の人はその上昇幅がさらに大きくなる傾向があります1)
夜間に長時間いきむのは、とても危険です。排便の前後に急激な血圧の変動を起こし、意識低下などのショック症状になることも。また、脳卒中や心筋梗塞の発作を引き起こしてしまうこともあります。
いきみによる血圧変動を防ぐためには、日頃からの便秘予防でスムーズな便通を促すことがとても大切。ちなみに快便のコツは…

  • 朝食前に水や牛乳を飲む
  • 食物繊維の多い野菜や海藻類を多く摂る
  • 便意にかかわらず、朝食後の決まった時間にトイレに行く習慣をつける

ウォーキングなどの有酸素運動や、腹部を「の」の字にマッサージすることも腸の働きを良くしてくれます。ただし、「の」の字マッサージは、腹部大動脈瘤の患者さんは避けてください2)

冷たいトイレには、危険がいっぱい?

血圧は、季節によっても変動します。特に冬の寒い時期には血圧が高くなりやすく、トイレでの危険も増してしまいます。
暖房のきいた部屋から、急に寒いトイレに行くと、血管が収縮し、血圧が上がります。そこでさらに、排泄のために冷たい便器に腰を下ろすと、血圧はますます急上昇。
トイレでの危険を防ぐためには、寒さ対策が最大のポイント。小型ヒーターや便器カバーなどを取り入れて、できるかぎり「暖かいトイレ」を目指しましょう。夜中にトイレに立つ場合は、上着を羽織るなど、体を冷やさないことも重要です。

監修:熊本大学大学院生命科学研究部
腎臓内科学 教授 向山 政志 先生

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