血圧と腎臓の切っても切れない関係

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高血圧と腎臓の悪循環?

CKDと呼ばれる病気をご存じですか?これは、2002年に米国腎臓財団が定義した「Chronic Kidney Disease(慢性腎臓病)」の頭文字。腎臓の働きが通常の60%以下に低下したり、尿にたんぱくがもれている状態が慢性化する病気の総称1)で、現在、日本の成人8人に1人がCKDといわれています2)
腎臓の病気であるCKDですが、原因で最も多いのが高血圧と糖尿病3)。しかも高血圧と腎臓の間には、やっかいな悪循環の関係があることも分かっています。
血圧が高い状態が続くと、全身の血管が傷つき、動脈硬化が進行します。なかでもダメージを受けやすいのが脳、目の網膜、腎臓4)。腎臓にはたくさんの毛細血管が毛糸玉のように集まってできている糸球体(しきゅうたい)があり、ダメージを受けることで腎臓の働きが低下してしまいます。そのため腎臓に備わっている血圧調整機能も低下して、ますます血圧が高くなり、糸球体が徐々に壊れてしまうのです5)。これが、高血圧と腎臓の密にして深い悪循環です。

小さな腎臓のすごい働き!

高血圧と関係の深い腎臓とは、どのような臓器なのでしょうか。そら豆に似た形をした、大人の握りこぶしほどの臓器で、重さはほんの150gほど。位置は背中側の腰の上、左右に1つずつあります。そんな小さな腎臓ですが、常にフル回転の働きもの。血液の浄化(老廃物や毒素の排泄)、体内の水分量や電解質の調整、血液を作り出すホルモンの分泌と調節など、私たちの生命を維持するために欠かせない働きをしています6)
なかでも驚くべきは、その浄化機能です。腎臓が1日にろ過する血液は、なんと約150~200リットル。家庭用の一般的なお風呂の浴槽約1杯分にもなります7)。そして、その働きを担っているのが、糸球体です。糸球体の大きさは、約0.1~0.2mm。1つの腎臓に約100万個あり、血液をろ過し、老廃物を取り除くフィルターの役割をしています8)

腎臓を守る基本は減塩と生活改善

腎臓は寡黙な頑張り屋さん。腎機能が20%程度に低下するまで、異変や不調が出ることはほとんどありません9)。そんな腎臓を守り、高血圧との悪循環を断ち切るためには、次のような生活習慣の改善が基本です10)

  • 減塩:1日の塩分摂取量6g未満を目標に
  • 運動:週2回30分程度、軽く汗が出るくらい
  • 節酒:ビールなら1日500ml、日本酒なら1合、ウイスキーの水割りなら2~3杯程度までが目安
  • 禁煙(喫煙は腎機能を低下させることが分かっています)

また食べ方のコツとしては、1日3回朝昼晩の食事を、ゆっくりよく噛んで食べること。その際、野菜から食べる「ベジファースト」を習慣にすることも、おすすめです。野菜から食べることで、血糖値の上昇を緩やかにし、食べ過ぎも抑える効果も期待できます11)

監修:八田内科医院 院長 八田 告 先生

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