薬で治療するには?

薬はいつから飲み始める?

まずは生活習慣の見直しを行い、それでも血圧が目標値まで下がらない場合に、降圧薬による治療を行います。ただし、高血圧の程度が重度で、脳卒中や心筋梗塞などのリスクを多くもっている人では、すぐに降圧薬治療を始めます。

血圧はどこまで下げたらよい?

一般的な治療の目標は、診察室血圧で130/80mmHg未満、家庭血圧では125/75mmHg未満です1)

治療の目標値
治療の目標値

家庭血圧は大事!

家庭では決まった条件で定期的に血圧を測ることができるため、血圧の変化や特徴を正確に知ることができます。そのため、生活習慣の改善や薬の効果を確認するのにとても有用です。最近の研究で、家庭血圧は診察室血圧よりも、脳卒中や心筋梗塞などの発症を予測する指標として優れていることがわかってきました。きちんと測った家庭血圧の結果をきちんと記録して、かかりつけ医に見せるようにしましょう。

降圧薬の種類

降圧薬は、患者さんの状態をみながら、医師が最適なものを選択します。十分に血圧を下げるためにいくつかの薬を組み合わせることもあります。おもな降圧薬として、以下のようなものがあります2、3)

薬の種類 作用
血管に作用する薬 カルシウム拮抗薬 血管が収縮するときに必要なカルシウムイオンの働きを抑え、血管を拡張させる
ホルモンに作用する薬 ACE*1阻害薬 血管を収縮させるホルモン「アンジオテンシンⅡ」の産生を抑え、血管を拡張させる
ARB*2 血管を収縮させるホルモン「アンジオテンシンⅡ」の働きを抑え、血管を拡張させる
腎臓に作用する薬 利尿薬 体内の余分な水分と塩分の排泄を促し、血流量を減らして血圧を下げる
自律神経に作用する薬 β遮断薬 交感神経の働きを抑え、心臓の心拍数、収縮力を減らして血圧を下げる
  • *1 ACE:
    angiotensin converting enzyme アンジオテンシン変換酵素
  • *2 ARB:
    angiotensin II receptor blocker アンジオテンシンII受容体拮抗薬

薬を飲み忘れたときは?

飲み忘れたときの対処は薬の種類によっても異なるため、医師や薬剤師に相談するのが原則です。飲み忘れたときにどうするか、事前に相談しておきましょう。ただしやむを得ない場合は、1日の服用回数をめやすとして以下を参考に対処してもよいでしょう2)

薬のタイプ いつ飲み忘れ? 対応の目安 *かかりつけ医にも相談してみましょう
1日1回 朝飲み忘れ 寝るまでに気づいたらそのタイミングで服薬
就寝前飲み忘れ 翌朝に服薬
1日2回 朝飲み忘れ 昼から夕方までに服薬。夕方の分は就寝前に服薬
夕飲み忘れ 寝るまでに気づいたら服薬
1日3回 朝飲み忘れ 昼までに気づいたら服薬。昼分は夕食後、夕分は就寝前に服薬
昼飲み忘れ 夕食までに気づいたら服薬。夕分は就寝前に服薬
夕飲み忘れ 寝るまでに気づいたら服薬
  • 特定非営利活動法人日本高血圧学会ガイドライン関連出版物アドホック委員会、特定非営利活動法人日本高血圧協会、認定特定非営利活動法人ささえあい医療人権センターCOML編集.
    「高血圧管理・治療ガイドライン2025」わかりやすい解説冊子 高血圧の話 ライフサイエンス出版 2025 P19

1回飲み忘れたからといって、2回分まとめて飲むと、血圧が下がり過ぎたりすることがあるため禁物です。

高血圧は治る?

降圧薬はあくまで血圧を一時的に下げるものであり、高血圧の原因を治すわけではありません。そのため、薬をやめると血圧が元に戻る可能性は高いといえます。一方で、高血圧の原因となっている生活習慣を改善し、正常な血圧を維持できるようになれば、薬の中止を検討できることもあります。ただし、勝手に薬を減らしたり中止することは危険なので、医師とよく相談しましょう。

血圧と上手に付き合おう

高血圧の治療の目的は、血管にかかる負担を少なくし、高血圧によって起こるさまざまな病気を予防することです。そのために、薬の服用の有無にかかわらず、継続して生活習慣の改善に取り組むことが大切です。また、家庭血圧も定期的にチェックし、息長く上手に血圧をコントロールしていきましょう。

  • 1)
    「高血圧管理・治療ガイドライン2025」68頁 表6-3 降圧目標
  • 2)
    特定非営利活動法人日本高血圧学会ガイドライン関連出版物アドホック委員会、特定非営利活動法人日本高血圧協会、認定特定非営利活動法人ささえあい医療人権センターCOML編集.
    「高血圧管理・治療ガイドライン2025」わかりやすい解説冊子 高血圧の話 ライフサイエンス出版 2025
  • 3)
    日本高血圧学会高血圧管理・治療ガイドライン委員会編集. 高血圧管理・治療ガイドライン2025より改変

監修:独立行政法人 労働者健康安全機構
大阪ろうさい病院 院長 樂木 宏実 先生

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