寒い時期、危険は家の中に潜んでいる

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血圧は、温度変化にとても敏感

寒い日に帰宅したとき、部屋が寒くても暖房をつけないまま、まずコートを脱いだり、マフラーを外したりしていませんか? 実は、高血圧の人にとって、これは危険な行為なのです。
血圧は温度変化にとても敏感です。急激に温度が変化すると血圧が上下に大きく変動して、場合によっては失神を起こしたり、脳卒中や心筋梗塞などの命にかかわる健康被害を招いたりすることがあります。これをいわゆる「ヒートショック」と呼んでいます1)
とくに冬は、暖かい部屋と寒い脱衣所や浴室、トイレなどとの寒暖差には要注意です。ただし夏でも、うだるほど暑い屋外と冷房の効いた屋内の温度差が血圧を大きく変化させうるため、高血圧の人は、年間を通じて温度変化に気を配ることが大切です。

安全にお風呂を楽しむポイントとは?

ヒートショックが最も起こりやすいのが、浴室まわりです。暖かい部屋から浴室まで移動するときに体が急激に冷え、さらに寒い脱衣所で服を脱ぎ、浴室の冷たい床に足が触れることで血圧が急上昇。そこで熱いお湯につかると急激な寒暖差にさらされるため、血圧が大きく変動します。
このように、冬場の入浴は危険がいっぱいですが、次のように工夫することで、より安全に入浴することができます。

  • 脱衣所に暖房器具を置き、入浴の前後に暖めておく(25℃程度)。
  • 湯船の温度は38〜40℃に。少しぬるめがベスト。
  • 湯船につかる時間は5〜10分程度。つかるのは胸までがよいとされています(とくに高齢者、高血圧の人)。
  • 入浴後は湯冷めに注意。すぐに服を着て、髪を乾かす。

入浴は本来、高血圧の改善に有効なリラックス法です。ぜひ温度差に気をつけて、お風呂タイムを楽しみましょう。

首まわりを温めると血圧が安定する

寒暖差が起こりやすい季節に血圧を安定させる手軽な方法が、「首まわりの保温」です。
首の後ろや肩甲骨の間には冷えに対してただちに反応するセンサーがあり(解剖学的には褐色脂肪があるところです)、首を冷やすと血管が収縮するなどで血圧が上がります。室内でもマフラーやネックウォーマーなどで首まわりを温め、血圧の上昇を防ぎましょう。
寒い日の外出時には、マスクはもちろん、マフラー、帽子、手袋などをつけて、皮膚の露出を少なくすることが大切です。耳を冷やすと体温が逃げて血圧が上がるため、帽子は耳まで覆うタイプのものがおすすめです。そして、これらの防寒アイテムは、必ず暖かい室内でつけてから外出するのを忘れないようにしましょう。

  • 1)
    東京都健康長寿医療センター研究所編「入浴時の温度管理に注意してヒートショックを防止しましょう」,4

監修:熊本大学大学院生命科学研究部
腎臓内科学 教授 向山 政志 先生

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