一生懸命より、ほどほどがベスト

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「きつい」運動はかえって危険

高血圧の予防や治療に運動はきわめて大切ですが、注意したいのが運動の強さです。「きつい」と感じるような運動にすると血圧が運動中に上昇しやすくなるため、気を付ける必要があります。軽め、短めの運動から徐々に上げていくのがよいでしょう。
運動には、呼吸で酸素を十分に取り入れながら行う有酸素運動と、瞬間的に息を止めてグッと力を入れて行う無酸素運動とがありますが、高血圧の人に向いているのは有酸素運動です。
とくに、短距離走、ゴルフ、テニス、バドミントン、球技などの勝敗がつくようなスポーツは、常に緊張したり、ついついがんばりすぎたりするので、高血圧の人にはあまりおすすめできません。

おすすめは「早足」ウォーキング

有酸素運動には、ジョギングやサイクリング、水泳などがありますが、いちばんのおすすめは、いつでも、どこでも簡単にできるウォーキングです。
歩くと全身の血液がスムーズに流れるようになりますし、血管の内側をおおう内皮細胞を刺激することで降圧効果が得られ、高血圧を改善するといわれています1)。また、習慣的に有酸素運動を行うことで、高血圧の人で収縮期血圧を8.3mmHg、拡張期血圧を5.2mmHg低下させる効果があるとされています1)
ただし、ぶらぶら歩きではあまり効果が期待できません。背筋を伸ばし、ふだんより少し早めのスピードで、軽く汗ばむ程度に歩くのがポイントです。はじめのうちは軽め、短めにして、少しずつ強度を上げてきましょう。
有酸素運動は毎日30分以上、または週180分以上が目安ですが2)、一度に行うのが難しい場合は、10分ずつ3回に分けてもかまいません。大事なのは、続けることなのです。

効果アップのレジスタンス運動とは?

レジスタンス運動とは、筋肉に負荷をかけて、筋力を維持する運動です2)。有酸素運動と組み合わせると、血圧を下げる効果が期待できるだけでなく、筋肉量が増えて基礎代謝が上がるため、肥満の改善にもつながります。
レジスタンス運動にはマシンなどの器具を使う方法もありますが、手軽にできる「スロースクワット」がおすすめです。ゆっくりとしたペースで、呼吸をしながら行いましょう。息を止めると血圧が上がってしまうので、「力を入れるときは息を吐く」を意識してください。週2〜3回を目安に、無理のない範囲で続けましょう。
「毎日忙しくて、運動する時間がとりにくい」という場合は、積極的に掃除や片付けを行う、エレベーターでなく階段を使うなど、日々こまめに体を動かすだけでも効果があります。

監修:熊本大学大学院生命科学研究部
腎臓内科学 教授 向山 政志 先生

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