上下の血圧の差が大きければ危険
「上の血圧は高いけど、下の血圧が基準値より低いから大丈夫」と思っている方、結構いらっしゃるのではないでしょうか。実はこれ、安心はできません。上の血圧から下の血圧を引いたもの、つまり上下の血圧の差を「脈圧」といい、この差が大きいと、動脈硬化が進行しているサインといわれています。
動脈硬化が進むと血管の壁が硬く厚くなり、血管の弾力性や伸縮性が落ちてしまいます。心臓が大きな力で全身に血液を送り出しても、血管がうまく広がらないので上の血圧(収縮期血圧)は上がり、血管が縮まないことで下の血圧(拡張期血圧)は下がってしまうのです。
一般的に、脈圧は30~50mmHgの範囲が望ましいとされ、60mmHgを超えると動脈硬化が進行しているサインといわれています1)。
最近注目されている平均血圧でわかること
もうひとつ、血圧から「平均血圧」を算出することができます。平均血圧は、つねに動脈にかかっている平均的な圧力のことで、「脈圧÷3+拡張期血圧(下の血圧)」で求めることができます。脈圧では太い血管の動脈硬化の進み具合がわかるのに対し、平均血圧では細い血管の動脈硬化の進み具合がわかります。
望ましい平均血圧は100mmHg未満とされ、それ以上の場合は動脈硬化が進行している可能性があります1)。測った血圧だけでなく、上下の血圧の差である脈圧と平均血圧も知ることが大切です。
血圧を測った腕の左右差にも要注意
血圧に左右差があるのはご存じでしょうか?一般的には、右腕で測るほうが左腕よりわずかに高いことが多いといわれています。これは主に心臓と血管の構造によるものです。
この左右の差にも注目してください。差が10mmHg以下なら問題ありませんが、20mmHg以上の場合は要注意2)。大動脈が狭くなっていたり、大動脈の血管の壁がはがれ、流れ込んだ血液によって膨らんでこぶ状になる解離性大動脈瘤などの、命にかかわるこわい病気が潜んでいたりすることがあります。血圧は変動しますので、何度か測ってみて、左右の差が大きい場合は医療機関を受診しましょう。
監修:自治医科大学
内科学講座循環器内科学部門 教授
苅尾 七臣 先生