呼吸で血圧をリセットしよう

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高血圧の人は呼吸が浅く、回数が多い

緊張しているときは、呼吸が浅く速くなり、血圧が上がります。その典型が、白衣を着た医師の前だと緊張してストレスがかかり、血圧が高くなる「白衣高血圧」です。
これには自律神経が関係しています。自律神経には「交感神経」と「副交感神経」があり、交感神経には、緊張や興奮すると心身の働きを活発にする作用があり、血圧を上昇させます。逆に、副交感神経には心身を鎮めてリラックスさせる作用があるため、血圧を下げてくれます。
高血圧の人はもともと呼吸が浅く、回数が多い傾向にあるため、できるだけ副交感神経を優位にして血圧を下げることが大切です。

深呼吸は緊張を解く切り替えスイッチ

日常生活には、ストレスにさらされて緊張する場面がたくさんありますが、すべてのストレスを避けるのは不可能です。ところが、緊張する場面でも交感神経から副交感神経へとスイッチを切り替える、簡単な方法があります。それが「深呼吸」。ゆっくりと深呼吸をすると、血圧を下げる物質がたくさんつくられるのです。
深呼吸は腹式呼吸でおこないましょう。鼻から息を吸い込んでお腹をふくらませ、息を吐くときは吸うときの4倍くらいの時間をかけて、口から静かに吐き出します。吐くときは、イライラや不安な気持ちを吐き出すようなイメージで。ゆっくり2~3回深呼吸をすると、血圧が10mmHgくらい下がります1)

つくり笑いでも血圧を下げる効果が期待できる

「笑い」にも血圧を下げる効果があるといわれています。笑うと副交感神経が活性化するため、心が穏やかになります。こうしてリラックスした状態になると血管が広がり、血圧が下がっていきます。また、笑うと脳内にβ-エンドルフィンという物質が増えます2)。これは脳に快楽をもたらす物質で、心身の緊張を解きほぐす作用があります。
落語やコント、親しい人たちとのおしゃべりなど、笑いが生まれる場面はいろいろありますが、笑うことがむずかしい場合は、「つくり笑い」でもストレスを減らす効果があります。笑顔が苦手な方は、ぜひ口角を上げることから始めてみてください。

  • 1)
    苅尾七臣 他.高血圧 脳卒中・心筋梗塞・動脈瘤 循環器内科の名医が教える最高の治し方大全.文響社, 33
  • 2)
    Itami J, et al. Shinshin-Igaku 1994; 34: 565-71

監修:自治医科大学
内科学講座循環器内科学部門 教授
苅尾 七臣 先生

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