血管の全長は、なんと地球の約2周半!?

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人体最大の臓器、血管の驚くべき構造とは?

今、医学界で血管の若さを保つ「血管ケア」の重要性が注目されています1)。血管とは、そもそもどんな構造をしているのでしょうか。
血管は、大きく「動脈」「静脈」「毛細血管」の3つに分かれます。動脈は心臓からの血液を流す血管で、まずは直径500円玉くらいの大動脈、次に鉛筆の芯ほどの細動脈、最後は直径0.1~0.007mmの毛細血管になります2)。毛細血管からの血液を心臓に還すのが静脈で、直径は各動脈よりやや大きくなります3)
血管や心臓を「循環器系」といいますが、その働きはまさに終わりなき川。動脈や静脈の“大河”と毛細血管の“支流”が循環し続けることで、全身に酸素と栄養を運び、古い血液を新しく作り変えて、私たちの生命を維持しています。
そんな血管の全長は、約10万km。地球約2周半にも及びます。また血管を構成する基本細胞(内皮細胞)の面積は約7000m2で、なんとテニスコート約27面分。長さ、面積ともに壮大な血管は、いわば「人体最大の臓器」でもあります1)

血管の健康と若さの鍵を握る、内皮細胞とは?

血管の中でも、脳卒中や心筋梗塞など重大な血管病が起こるのが動脈です。その内部は「外膜」「中膜」「内膜」の3層構造になっていて、これらが血管壁を形成しています。そのうち血管の健康度を大きく左右しているのが、内膜の「内皮細胞」です。血管壁の最も内側にあり、じかに血液に触れ、血管のバリア的な役割を果たしています。
また内皮細胞は、皮膚と似た性質も持っています。私たちの皮膚は28日周期のターンオーバー(新陳代謝)で新しい皮膚に入れ替わりますが、内皮細胞も約1000日で新陳代謝します。ただし、一度にすべての細胞が一新するわけではありません。毎日少しずつ、疲れた古い細胞が新しい細胞に入れ替わり、約2年9ヵ月かけてすべてが生まれ変わります。
内皮細胞でより良いターンオーバーが続けば、強い血管に生まれ変わらせることができます。そのために大切なのが血管ケア。血管ケアを始めると、目には見えなくとも、その日から血管の中では確実に良い変化が起こっていくのです1)

血管をイキイキと若返らせる3つの食習慣1)

血管ケアの最大のポイントは食事です。なかでも以下の3つの食習慣が決め手になります。

  • 減塩をする(血管を傷めない体内環境作り)
  • 魚や大豆製品をとる(強い内皮細胞を作るための材料補給)
  • 野菜をたくさん食べる(血管内の悪玉物質退治)

ちなみに、①の減塩のメリットは、高血圧予防だけではありません。塩分の摂り過ぎは、血圧を上げるだけでなく、血管の細胞に直接ダメージを与え、血管を老化させてしまいます。さらに、血管壁の細胞にナトリウムが溜まって壁が厚く硬くなることで、動脈硬化も進行します。
食塩を摂取しても血圧が上昇しにくいことを「食塩非感受性」といい、そういう人は減塩をする必要がないのでは?と思われがちです。しかし血管ケアのためには、食塩非感受性の人もやはり、①の減塩および、②③の食習慣に取り組むことが大切なのです。
1000日後のイキイキと若返った血管のために、①②③の食習慣=血管ケア、あなたも始めてみませんか?

  • 1)
    島田和幸.一生切れない、つまらない「強い血管」をつくる本.永岡書店, 30-35, 68-69, 78-83
  • 2)
    毛利博監修.おもしろサイエンス血圧の科学.日刊工業新聞社, 17
  • 3)
    佐藤達夫監修.新版からだの地図帳.講談社, 158-159

監修:新小山市民病院 病院長 島田 和幸 先生

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