世界的な健康長寿食・和食の落とし穴とは?

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典型的な朝の和定食、じつは避けるべき?

2013年12月、ユネスコ無形文化遺産に登録された「和食;日本人の伝統的な食文化」1)。一汁三菜が基本の和食は、一食で五大栄養素(炭水化物・たんぱく質・脂質・ビタミン・ミネラル)が摂れるバランスの良さが特徴です。しかも低脂肪低カロリー、味噌や酢、ぬか漬けや納豆など腸内環境を整える発酵食品も豊富な和食は、世界の中でも「理想的な健康長寿食」として知られています2)
しかし、そんな和食にも落とし穴が。たとえば塩鮭、納豆、みそ汁、ごはんという典型的な和の朝ごはん。この食塩量を概算すると、塩鮭、みそ汁だけで約2~3g 3)。もし塩鮭や納豆にしょうゆをかけ、梅干しや漬物、海苔の佃煮などを添えるとさらに約3~4g 3)。朝食だけで、成人1日の摂取目標量6g未満4)を超えてしまうのです。ただし、パンの朝食でも、たとえば6枚切り食パン1枚には約0.7gの塩分が含まれているので、食べ過ぎには注意です5,6)

注目の「DASH食」は、和食の弱点をカバーする?

和食は、オーストラリア、ドイツ、アメリカなど諸外国の食生活と比較しても、塩分過多になりやすいのが弱点といえます7)。そこで、おすすめなのがDASH食8)。DASH食とは、Dietary Approaches to Stop Hypertensionの略で、1990年代からアメリカで研究され、高血圧の改善に高い効果が確認されています9)
具体的には、飽和脂肪酸とコレステロールが多い食品を減らし、野菜、果物、低脂肪の乳製品、魚介類、大豆製品、海藻を増やすこと。これらには塩分排出効果のあるカリウム、カルシウム、マグネシウム、食物繊維が豊富に含まれており、塩分過多になりがちな日本人にもおすすめです。減塩と組み合わせることで、よりよい血圧コントロールを目指しましょう9)

こんなに簡単!「和食+DASH食」

DASH食の特徴は、特定の栄養素とその割合にこだわらず、今と比べて体によい食品を増やし、よくない食品を減らすこと9)

  • みそ汁:海藻、キノコ、イモ類、野菜、豆腐などを増やし、具沢山にして汁を減らす
  • 魚料理:塩鮭や干物を減らし、煮魚や焼き魚に柑橘類をプラス
  • 副菜:カボチャやほうれん草など色の濃い野菜をプラス
  • 漬物:ワカメやタコなどの酢の物に変更
  • デザート:季節の果物にヨーグルトをプラス

ほんの少しの工夫で、和食で不足しがちなカルシウムも補えて一石二鳥。ちなみに1日の野菜の目標は350~500gです。

最後にもう一度、「増やす食品」「減らす食品」をチェックしておきましょう9)

増やす食品
野菜、果物、低脂肪の乳製品、魚介類、大豆製品、海藻など(カリウム、カルシウム、マグネシウム、食物繊維、たんぱく質)
減らす食品
赤身以外の肉、ベーコンなどの加工肉、たらこ、生クリーム、バターなど(飽和脂肪酸、コレステロール)

監修:八田内科医院 院長 八田 告 先生

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