恐竜の血圧は高かった?低かった?

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キリンより血圧が高い意外な動物とは?

恐竜の話の前に、まずは動物の血圧比較から。現存する哺乳類の中では、キリンの血圧が高いことが有名です。人間の正常血圧120/80mmHg1)に対して、キリンの血圧はなんと260/160mmHg。他の哺乳類の最高血圧(mmHg)と比べても、イヌ112、ウシ160、ブタ169、ネコ171、ゾウ240と、キリンが突出しています2)
さらに上を行くのが、クリスマスのごちそうでもある七面鳥。鳥類は一般的に血圧が高めですが、食用に飼育された七面鳥の血圧は群を抜いて高く、300~400/200mmHgにも及ぶといわれています3)
とはいえ、キリンや七面鳥が、他の動物と比べて、ことさら不健康というわけではありません。鳥類は激しく羽を動かすためなどに、首の長いキリンは血液を心臓から脳まで押し上げるために高い血圧が必要で、体の構造も高血圧に耐えられるようになっています2)

研究最前線で解明、恐竜の意外な素顔!

今から約6600万年前、白亜紀の終わりに絶滅したといわれる恐竜4)。近年の化石発掘ラッシュと解析技術の飛躍的な進歩で、その素顔が次々と明らかになってきました。たとえば、映画『ジュラシック・パーク』に登場するベロキラプトルなど、巨大な爬虫類のイメージが強かった肉食恐竜。じつはその多くがウロコではなく、鳥類のような羽毛に覆われていたことは、今や科学者の共通した見解です5)
では、そんな恐竜の血圧は、どうだったのでしょう? キリンの身長は約6m6)、首長竜のブラキオサウルスは、頭の高さだけでも約11mに達します7)。首が長く体が大きいほど、心臓から脳に血液を流すための高い血圧が必要だとすると、ブラキオサウルスなどの巨大首長恐竜は、キリンをはるかにしのぐ超高血圧だったかもしれません。さらに恐竜には、キリンや首の長い鳥類と同じように、高血圧に耐える体の構造があった可能性も指摘されています6)

野生動物も“血管病”になる?

人間の倍以上の血圧であるにもかかわらず、キリンが立ちくらみもせず頭を上げ下げできるのは、首の静脈にある「逆流防止の弁」と、後頭部にある「ワンダーネット」と呼ばれる網目状の毛細血管のかたまりが、頭部の血流を調節しているおかげです2)。もしキリンのように首が長く背の高い動物が、ワンダーネットや逆流弁のない状態で頭を上げ下げすれば、急激な血圧変動を起こして、立ちくらみどころか脳貧血を起こしかねません。ちなみに近年、恐竜にも同様の装置があったと推察されています6)
また私たち人間も、じつは10秒以上の逆立ちはリスクがあります。首の逆流防止弁や後頭部のワンダーネットがない人間にとって、長時間の逆立ちは、脳血管の血管壁が破れたり、目の充血で眼底を痛める危険につながります2)
さらにいえば、動脈硬化などの“血管病”になるのは人間だけで、野生動物にはみられません8)。野生動物のように、自分のカラダに合った血圧を保ち、血管病を防ぐためには、腹八分目の食事と減塩、そして適切な運動が大切なのは言うまでもありません。

監修:八田内科医院 院長 八田 告 先生

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