今、内臓肥満による高血圧が増えている?
最近、若年~中年の男性を中心に、肥満による高血圧が増えています1)。BMI(体格指数)20.0未満の人に比べると、BMI 25~29.9の人の高血圧の発症リスクは、なんと1.5~2.5倍にもなります2)。ちなみに、BMI値は下記の計算式で知ることができます。
BMI=体重kg ÷(身長m×身長m)
BMIが25以上の人は肥満となりますが、とくに問題なのが「内臓脂肪」。内臓脂肪からは、慢性的に血圧を上昇させる物質が分泌されるため、高血圧のリスクをより高めてしまいます。
しかし、内臓脂肪は増えやすい反面、減らしやすい特徴があり、やせれば血圧は下がります1)。体重1kg減につき、最大血圧が約1.1mmHg、最小血圧が約0.9mmHg低下すると推定されています2)。また4~5kgの減量では、慢性的に血圧が下がることも確認されています1)。
BMI 25以上の人は25未満を、お腹周り(腹囲)は男性85cm未満、女性90cm未満になるよう、目指していきましょう1)。
早食いを止めてやせる、「食べ方のコツ」
生活スタイル別「やせるコツ」の前に、まずは肥満解消を進める食べ方の基本から。そのポイントは以下の4つです1)。
- ①朝食をとる(バナナ1本と野菜ジュースなどでもOK)
- ②夜10時以降の食事は、量を少なめにする
- ③よく噛んで食べる(最初に野菜を食べるのもオススメ)
- ④早食いを止め、1食15分以上をかける
朝食を抜くと昼食のカロリーが体脂肪になりやすく、夜遅い食事も体脂肪として蓄積しやすくなります。また早食いは、満腹中枢が適切に刺激されず、過食につながります1)。近年の調査でも、早食いの人は肥満になりやすいことが分かっています3)。
しかし、やせる食べ方をすれば、自然に食事のカロリーを減らし、肥満解消を促すことが可能です1)。しかも、これら4つのポイントは、どんな生活スタイルの人でもほんの少し意識すればできることばかり。自分に合った無理なく続けられるダイエット、まずはここから始めてみましょう。
忙しい人、家にいる人、生活スタイル別「やせるコツ」
生活スタイル別の「やせるコツ」。それぞれのポイントは以下の通りです1)。
忙しいビジネスマン
- 食事のコツ
- 朝食を抜かない。外食は1品料理(ラーメン、丼物)を減らし、薄味の和定食を増やす。休肝日を作る。
- 運動のコツ
- 通勤を運動時間に。1駅分歩いたり、駅やオフィスでは階段を利用。休みの日はゴロ寝を控え、散歩やウォーキングを。
家にいる時間が長い人
- 食事のコツ
- 1日3食を同じ時間にとる。お菓子やお酒の買い置きを止めて量を減らす。魚や大豆製品を積極的にとる。
- 運動のコツ
- とくに用事がなくても、外出の機会を増やす。近所の知らない道や公園を散策するだけでも脳が活性化し、生活にメリハリが出て、運動量の増加につながる。
また、焦らないことも肝心です。心身ともに負担の少ない減量のコツは、3ヵ月で5%の体重減。85kgの人なら3ヵ月で約4kg減になります。これなら「夕食のご飯を1杯減らす」「1日合計1時間ほど歩く」だけでも達成可能です1)。無理なく健康的に、適正体重を目指していきましょう。
監修:新小山市民病院 病院長 島田 和幸 先生